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秋から冬に変わる、穏やかな季節の移り目が好きだ。カサカサと木々の間に積もった枯れ葉を飛ばしながら歩く時、冬にはまだ早い日差しのぬくもりが背中に優しい。バックパックを下ろし、疲れた体を枯れた草に横たえると、人影消えた森までが急に優しくなったような気になってくる。そんな短い秋を森の動物たちもエンジョイしているのだろうか?
アメリカを旅しながらいろんな動物たちに出会ったが、初めて見たイエローストーンの野生のオオカミは今でも強烈に思い出されてくる。人に媚びない毅然とした態度、射すくめるようなクールな瞳。
アイル・ロイヤル国立公園はスペリア湖の北西部に位置する全長45マイルの細長い島で、距離的にはミネソタ州に近いが、地理上ではミシガン州になる。島に渡るには、ミシガン州北部のカパー・ハーバーか、ホートン、あるいはミネソタ州のグランド・ポーテージからボートで行くしかない。どちらの港から行くにしても、最寄りの飛行場から3時間はドライブしなければならない。しかし美しい自然と野生のオオカミに遭遇できるかも知れないという思いは、そんな距離感をなくさせた。 島にはロックハーバーにロッジが一軒あるが、シーズン中は高くて混んでいて、とても泊まる気にはなれない。それにオオカミに遭えるチャンスは、そんな人の気配のするところではまず生まれない。ボクは初めからキャンプをするつもりで、観光客が途切れる9月の末に島に渡った。
パークレンジャーの勧めで船着き場から約10マイル(16キロ)離れたフェルドマン・レークにキャンプすることにしたが、「オオカミは夏の間は森の奥に引っ込んで、人間が遭遇するチャンスはまずないだろう」と、若いレンジャーに初めから気分が暗くなるような引導を渡された。彼女はこの島に赴任してから2年が経つが、まだ実際に見たことがないという。
フェルドマン・レークまでのトレイルは、藪や森の中に続く獣道だった。いたる所にムースやキツネの糞が落ちていて、しかも藪の中から突然顔を見せては驚かせた。野いちごの赤い実に口の渇きを癒し、一歩森に入ると、いろんな種類のキノコが群生し、森の精の小人たちが歌でも歌いながら現れるのではないかと思われるほど、不思議な気分にさせられた。 湖の端にテントを張ると、誰にも邪魔されない自分だけの世界が始まる。水を汲んで沸かし、いつもと同じように陽の高いうちに夕食の準備に取り掛かる。持ってきた3日分の米を全部炊いて(今回は3泊の予定)、その日の夕食の分を残し全部おにぎりにすると、最初の仕事は完了だ。これで3日間の最低の食料は保証できた。あとは寝転んで動物たちが出てくるのを待つばかりで、この島で安心なのはクマがいないことだった。それに食べ物を盗むラクーン(アライグマ)の姿もない。その代わりキタキツネの夫婦がやって来て、すぐに友達になった。
『アイル・ロイヤル国立公園』 Park Headquarters: 800 East Lakeshore Dr., Hougton, ■行き方:アイル・ロイヤルはミシガン州から58マイル、ミネソタ州からは18マイル離れたスペリア湖の中にあり、ボートで行くしかない。近い空港はそれぞれHougton、Michiganか、Duluth、 Minnesota。ボートはミシガン州がホートンかカパー・ハーバー、ミネソタ州はグランド・ポーテージからそれぞれ運行しているが、行き先(Rock HarborかWindigo)によって運行スケジュールが違うので事前予約が絶対必要だ。ミシガン州ホートンとカパー・ハーバー出航のボーはト906-289-4437、ミネソタ州、ポーテージ発は715-392-2100。
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