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> エッセイメニュー 春のエバグレイズ国立公園
マイアミの北西部、メキシコ湾と接するエバグレイズ国立公園はその大部分を湿地帯で占める、米国でも特異な国立公園だ。オキチョビ湖を水源に、300種を超える鳥、動物類、700種にも及ぶ植物類が生息するという。その中には絶滅種に指定されている、フロリダパンサー、マナティ、それにミドリウミガメなども含まれている。 エバグレイズほど水の影響を多く受ける公園も少ない。その年の降雨量によって公園の様子はガラッと変わってくる。昨年は水不足で干涸びていた池も今年は雨が多く満々と水をたたえ、昨年見られなかった鳥や動物たちが帰ってきた。 しかし人口370万の都市マイアミと接し、冬場は観光客で膨れ上がる近郊都市も含め、オキチョビ湖からの水はエバグレイズに到着する前に枝分かれし、人間たちの生活のために吸い取られてしまうのが現状である。国立公園の入り口まで広がる農地と年々大きく広がる住宅群。自然を保護するか、人間の生活を優先するか、エバグレイズの存亡に警鐘を鳴らす人たちは数多い。
鹿児島県の小さな島で育ったボクにとって、エバグレイズは故郷を思い出させる最も心落ち着く国立公園である。公園にはモーテルが一つあるが、私はいつも公園の一番奥手のフラミンゴにあるキャンプ場にテントを張る。オートキャンプとウォークインキャンプに分かれていて、私の好きな場所はウォークインキャンプ場のヤシの木の下だ。 ここのキャンプ場の主はラクーン(アライグマ)だ。彼らは昼間はどこかで寝ていて夜になると活動を始める。毎晩鼻をクンクン鳴らしながら、頭をかじられるのではないかと思われるくらい、餌を探してテントの近くを徘徊する。そしてさわさわと草を踏み締める無気味な足音に目を覚ますと、今度は3メートルもあるワニがテントのそばを横切って海の中に消えて行ったりする。
このラクーンたちが餌を諦めてキャンプ地を離れると、もうエバグレイズに早い朝がやってくる。キャンプ場から歩いて行けるエコーポンドは鳥たちの宝庫で、陽が昇らないうちからバードウオッチャーたちが双眼鏡片手に歩き回っている。鳥たちの中で一番の早起きは、クーツ(オオバン)の仲間だ。鋭い鳴き声であたりの静寂を破ると、池のまん中に生えるマングローブの木に鈴生りになって寝ていたホワイトアイビスが群れをなして飛び立ち始める。そしてヘローンに、ペリカン、スプーンビルと、餌を求めて公園中の鳥たちの一日が始まるのである。 池の端の一番高い松の枝には毎年鷹が巣を作る。今年も2匹が仲良く寄り添っていた。彼らの狩猟地はこのエコーポンドの周りで、油断した小さな鳥に素早く舞い降りて鋭いツメを立てる。鷹が獲物を狙って精神を集中している時はカメラマンにとってはシャッターチャンスだ。彼らは人間をあまり怖がらないので至近距離まで近付けるのである。
最寄りの空港はマイアミ空港で公園まで約50マイル、フォートローダデル空港だと約65マイルで行ける。公園へは(1) 国道41号線から入る北側のシャークバレービジターセンター、(2) エバグレイズシティーのガルフコーストビジターセンター、(3) 南側のゲートシティー、ホームステッドから入るメインビジターセンターの3か所に分かれているが、車で中まで入れて一番人気があるのはBの南側だ。最南端のフラミンゴビジターセンターにはレストランとモーテルがあり、食料も調達できる。フラミンゴにあるキャンプ場は1日14ドル、フラミンゴロッジはシーズン中は1泊100〜150ドルで、事前の予約が必要(1-800-600-3813, Fax: 941-695-3921)。キャンプ場の予約は下記の国立公園の電話番号で受け付けている。とにかく蚊と雨が多いので、虫よけスプレーと雨具を忘れないこと。キャンプする時は食料をラクーンに取られないように保管場所に気をつける。ここのラクーンは頭がよくて、バッグのジッパーを開けて食料だけ失敬するツワモノもいる。 Everglades National Park:4001 State Road 9336, Homestead, FL 33034-6733
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