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> エッセイメニュー 「蜘蛛女の伝説」 キャニオン・ド・シェイ国定公園 Canyon de Chelly National Monument、Arizona
コロラドとユタ、アリゾナ、それにニューメキシコの4州が接する境界地点だ。グランドサークルと呼ばれる国立・国定公園エリアを含むコロラドプラトゥーの赤い大地はこの「フォーコーナー」を起点に広がり、メサベルディーやモニュメントバレー、グランドキャニオンなどの雄大な国立公園が幹を連ねる。 これらの土地にはネイティブアメリカン(ナバホ族)が住み着くずっと以前に、アナサジと呼ばれる高度な文明を持った先住民が住み、その住居跡は今でも険しい岩壁に残されている。現代文明から取り残されたようなこのナバホの赤い土地を歩くと、まるでタイムトリップして別の惑星に迷い込んだような不思議な気持ちにさせられる。
コロラドのデュランゴ空港から国道160号線を西にフォーコーナーへ向けて車を走らせると、折しも真っ黒な空から白い雪が舞い始めた。雪はしだいに激しくなって視界を遮り、運転できなくなったボクは道端に車を停めて、雪の止むのを待つことにした。小一時間もすると雪は止み、気温が上がって、今度は霧になった。赤い土地は白く雪化粧してまるで映画の中の一シーンみたいに、インディアンが馬にまたがり出て来るのではないかと思わせるような美しい景色が広がった。土産物売りの粗末な小屋が並ぶフォーコーナーに着くと観光客の姿はなく、入場料を徴集するナバホの女が時間を持て余して一人座っているだけだった。ボクは4つの州を示す標識の上を跨ぎ証拠の写真を撮ると、また車に飛び乗った。 国道160号をこのまま西に進むとジョン・フォードの西部劇で有名なモニュメントバレーに出る。モニュメントバレーはナバホ・トライバル・パークが正式名、今でもナバホインディアンの統治区でアメリカ政府の管轄外だ。この観光地化したモニュメントバレーの近くに、キャニオンド・シェイと呼ばれる同じナバホインディアンの里がある。
ビジターセンターからサウスリムドライブを通りキャニオンの頂上に立つと、息をのむ景観が眼前に広がった。深く侵食した谷底にはくねくねと小さな川が流れ、両側は切り立った岩の壁が高く長く立ちはだかっていた。この峡谷の中には今でも20戸あまりのナバホ族が住んでいる。 切り立った岩に作られたトレイルを伝い、谷底のホワイトハウスまで下りて行くと、帰り支度をしていたナバホ族の土産物売りの男と仲良くなった。帰りは彼のトラックに乗せてもらい、峡谷の底を流れる浅い川底を通ってリムドライブまで帰ってきた。男はフェニックスの高校に通う息子の自慢をした。
サウスリムドライブの終点は、「スパイダーロック(蜘蛛岩)」を見下ろす高台になっていた。スパイダーロックとは細い2本の岩で、800フィートはあろうかと思うような2本の岩が谷底からにゅーっと突っ立っている。 雪が止んで、低い雲の切れ目から太陽がのぞいてスパイダーロックを照射した。スパイダーウーメンは虹に乗り、岩から岩を飛び歩いたという。太古の話はここでは今でも現実味をおびて響いて来る。ナバホの里には昔と変わらない、ゆっくりした時が流れていた。
■ 行き方:コロラド州のデュランゴ空港が一番近いが、アリゾナ州側のフラッグスタッフからモニュメントバレーを通ってドライブするとインディアンの赤い土地を満喫できる。帰りは191号線を南下して、40号線に出てPetrified Forest(化石の森国立公園)に立ち寄り、またフラッグスタッフへ出ると、思い出は倍加する。
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