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私のアメリカを探して 19

「受難の時代、プレイリードッグ」
ウインドケーブ国立公園、カスター州立公園
Wind Cave National Park and Custer State Park, South Dakota


Prairie Dog

 ロッキーの山々から果てしなく続く大草原(プレイリー)。
 サウスダコタにはバッドランドやデビルスタワー、それにこのウインドケーブ国立、国定記念物公園など自然の造型物が軒を列ね、それにラピッドシティから南に25マイル下ったブラック・ヒルズには4人の大統領の顔で有名なマウント・ラシュモア国立記念碑もある。

Bison

 ラピッドシティの空港に下り立つと、すがすがしい高原の空気と草原の匂いがただよってきて、平和そうにバイソンの群れが草を食んでいる風景が広がっている。
 ボクはウインドケーブ国立公園のゲートシティ、カスターの町に旅の荷をほどくと通りのまん中にあるダイナで腹ごしらえすることにした。レストランの屋根には大きなバッファローの看板が立てられ名物のバッファローバーガーを注文する。折からの空腹にペロリと平らげたボクを見てでっぷり太ったレストランの親父がすぐに寄ってきた。
「どうだいうちのバーガーは美味しいだろう!」
 一人旅のボクにはこの親切が非常に身にしみる。コーヒーをもう一杯注文して親父の自慢話に耳を傾けると、隣の席のカウボーイも加わりこれから行くウインドケーブとカスター公園についてのうんちくが始まった。

 ウインドーケーブ国立公園とカスター州立公園は草原の中のお隣さんで、地下にあるのがウインドケーブで地上がカスター州立公園だ。
 ウインドケーブは洞窟の上に空いた小さな穴から空気が吹き上がっているのを、1801年に開拓者の兄弟によって発見された。1903年に米国で9番目の国立公園に指定され今年でちょうど100年になる。
 洞窟の中は非常に狭くて、ひと一人がやっと通れるような暗い穴が続いている。なんとその長さは100マイルにも達するらしくて、この洞窟の中で迷ったら大変なことになってしまう。
 一方カスター州立公園はプ大草原に生息する動物たちの天国で、公園内のワイルドライフループ道路をドライブするだけでいろんな動物たちを見ることができる。


Bison

 この動物たちの中でも人気者はプレイリードッグだ。
 プレイリードッグはリス科の動物だが、その甲高い泣き声からプレイリードッグ(草原の犬)と呼ばれるようになった。
 公園内にはプレイリードッグ・タウンと呼ばれる一角があり、ここでは人にあまり物怖しないプレイリードッグたちが巣穴から巣穴へと走り回り草をかじるのを間直に見ることができる。
 しかしこんな可愛いプレイリードッグだが、彼らの人生?いやドッグ生はそんなにハッピーではない。
 愛好派と虐殺派、生かすか殺すかの狭いはざまの中で小さくなって生きている。彼らを目の仇にしているのは主に牧場主たちで、プレイリードッグが牧草を食べてしまうという理由から容赦なく殺してしまう。それに輪をかけるように伝染病を媒介するという事で毒殺されたり、あるいは開発業者による土地開発で生息地をブルドーザーで掘り起こされたり、銃愛好者と牧場主が組んだハンティングの標的になったり、そして最近ではペットのプレイリードッグから媒介したモンキーポックス(猿斑点)の流行で虐殺に拍車をかける。
 方や愛好者の方は彼らを安全な国立公園や野生動物保護区などに移す努力をしているが、破壊のスピードには追いつかない。

 そんな不幸な運命を強いられたプレイリードッグたち、しかし20世紀初頭にはメキシコからカナダまで広大なプレイリーに50億匹もが生息していたらしい。現在米国には5種類が生息するが、そのうちの数種類はすでに絶滅寸前にあり、多く見られるのはオグロとオジロ、プレイリードッグの2種類だけで、ここサウスダコタ州に最も多く生息する。
 動物学者の研究によれば、プレイリードッグが食べた後の草にはタンパク質が多く含まれ、バイソンやプロングホーンなどは好んでプレイリードッグの生息地の草を食べるというが、一度害獣の烙印を押されてしまうと頑固な牧場主たちの考えを元に戻すのは難しい。


Pronghorn

 ボクはカスター州立公園のワイルドループ道路を何度も往復しながら、プレイリードッグタウンに立ち止まっては愛嬌ある仕草にシャッターを押した。  彼らの巣穴は地下5メートル、長さ30メートルにもなり家族単位で生活している。そして侵入者が来ると甲高い鳴き声で仲間に警告する。  極め付けは”万歳コール”で、後ろ足で立ち上がり両手をそろえて「キャン!」と吠える愛嬌のあるポーズは笑いをさそう。

 6月は草原が青く光り輝く季節だ。そして誕生の季節でもある。
 生まれたばかりのバイソンやプロングホーンの赤ん坊がよちよちと母親について歩いていた。
 プレイリードッグの母親は子供達を素穴に集めてまるで授業中のクラスの先生みたいに何かを教えている。
 しかしわんぱく坊主達はどこの世界でも同じこと、授業などそっちのけで走り回っているのである。


Custer State Park
(Phone: 605-255-4515, www.sdgfp.info/parks )

Wind Cave National Park
(Phone: 605-745-4600, www.nps.gov/wica )

■ 行き方:最寄りの空港はラピッドシティで、ここでレンタカーして国道16号で4大統領の顔で有名なマウントラシュモアに立ち寄り、そこからカスター州立公園に入る。ウインドケーブ国立公園はカスター州立公園から南へ約5マイル。
泊まりはカスターの町が近くて便利だ。モーテルやレストランが多いので飛び込みでも心配ない。



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